それは誰かの日常

誰かの日常。それはリアルタイムではありません。それは過去の出来事かもしれない。それは未来の出来事かもしれない。それは今日の出来事かもしれない。 それはフィクションかもしれない。

憎しみの溶岩

憎しみの塊は

 

溶岩のように

 

沸々と

 

ボコボコと

 

静かな音を立て

 

 

急激に

 

温度を上げている

 

 

 

 

崩れ落ちる

 

小さなトゲトゲの破片を

 

一瞬にして溶かし

 

 

 

そのトゲトゲは

 

どんどん増え続けていく

 

 

 

時折遠くで聞こえる

 

煮えたぎったような破裂音が

 

心拍数を上げる

 

 

 

 

いっそ全て

 

一気に吐き出してやろうか

 

 

 

そんな思いが

 

頭の隅をかすめた

 

 

 

 

 

風が吹き

 

枯葉がザザザ…と

 

目の前を通っていった

 

 

 

 

目を閉じて

 

大きく深呼吸した

 

 

 

 

 

 

 

 

ああ…

 

溶けた溶岩が

 

また少しづつ

 

冷え固まってきたようだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ばあちゃんさようなら

これは

私の気持ちの記録です。

 

ひとりごとです。

読みたくない人はスルーしてください。

 

***************

 

もうすぐ

ばあちゃんの一周忌です。

 

1年前の7月に

この世を去りました。

 

いつの頃からか

『100までは生きるぞー!

100まで頑張るぞー!』と

100まで!というのが、

口癖のようになっていました。

 

まだばあちゃんが

90歳くらいの時は、

 

私も『ほんとやな。

100まで頑張ろで〜!』

と答えていましたが、

 

毎年毎年ばあちゃんの

誕生日が来るたびに、

そう言えなくなりました。

 

ばあちゃんは「100まで頑張る!」

といつも言っているから、

もし100歳になったら

力尽きてしまうかもしれない。

 

 

人は誰でもいつかは死ぬのだと

わかってはいるけれど、

100歳までという

命のゴールを決めて欲しくない。

 

 

だから、100まで頑張るぞ!

というばあちゃんに

ほんとやな〜と言えなくなりました。

 

 

いつまでも生きていて欲しい。

という思いと、

 

いつかは死んでしまうんだ。

という覚悟のような思いが、

 

 

ばあちゃんの顔を見るたびに

頭の中をぐるぐると交錯するのでした。

 

 

無くなる数年前から

何回も何回も、今夜が峠です。

というお医者さんの言葉を聞きました。

 

 

その度に、休暇を取って

片道4時間近くかけて

ばあちゃんに会いに行きました。

 

 

会いに行くたびに、

ばあちゃんは

私を忘れていきました。

 

私の弟のことを、

自分の息子と間違えたりしました。

 

私の母である自分の娘のことを

看護婦さんと呼んだりするようにも

なりました。

 

そうやってばあちゃんは

いくつもいくつも峠を越えました。

 

ひょっとしたら

100個の峠を目指して

いたのかもしれません。

 

98個目の峠が見えたとき

ばあちゃんにはそれが

100個目に見えたのです。

 

 

 

大正生まれのばあちゃんは、

数え年で年齢を数えるのが

普通だったからでしょう。

 

 

 

ばあちゃんに

会いに行く予定じゃなかったその日、

いくつかの偶然が重なり、

思いついて会いに行きました。

 

私の顔を見ても

誰だかわかっていなかったと思いますが、

手を握ったら、うんうんと頷いていました。

 

夕方頃から、

だんだん呼吸ができにくくなり、

深呼吸のような…息継ぎのような…

ぱーっ!という

大きな息を吐き出して

 

 

そのまま静かに

永遠の眠りにつきました。

 

 

享年100歳(満98歳)でした。

 

 

ばあちゃんは

100まで生きる!という

自分の思いを全うしました。

 

 

そして

何十年も前に戦死した旦那さんに

やっと会いに行けました。

 

 

 

 

ばあちゃんありがとう。

 

ばあちゃん大好き。

 

ばあちゃんさようなら。

 

 

 

もうすぐ「さようなら」から

1年も経つね。

 

 

やっぱりあちらの世界でも

頑張っているのかな。

 

 

私も

 

ばあちゃんのように

まっすぐに生きるよ。

 

ばあちゃんのように

思いのままに生きるよ。

 

いつも

「私はわがままやけんな」

と、自分で言ってたけど

 

それはわがままではなかった。

 

ただ

まっすぐに

思いのままに

一生懸命生きていただけ

 

素直な気持ちだけで

生きていただけ

 

 

そんなばあちゃんみたいに

私もなるよ。

 

 

一周忌には

また会いに行くから

 

私の顔見たら

うんうんと頷いてね

 

 

ばあちゃん

安らかに…。

抜け出せない

誰もいない

 

小さなその空間に

 

ただひとり

 

ただ

 

うずもれている

 

 

 

そして

 

抜け出せずにいる

 

 

 

 

遥か遠くに聞こえる

 

風の音は

 

 

 

思考の雑音に

 

消されていく

 

 

 

どうすればいいんだ

 

 

どうにかしなくては

 

 

そう思いながら

 

 

動けずにいる

 

 

 

 

誰も…

 

そう誰一人として

 

助けてくれやしないのに

 

 

teal_tree

 

 

 

 

 

 

決断の時

あと3時間後には

 

答えを出さなくてはいけない

 

 

 

いつまでも

 

迷っているわけにはいかない

 

 

いい加減

 

覚悟を決めなければ

 

 

 

 

 

あれからもう

 

 

2ヶ月も経ってしまったのだから

 

 

 

 

さあ

 

迷っている時間は無い

 

 

 

 

決断の時が

 

 

刻々と迫ってくる

 

 

 

 

そして

 

そこから新しい道が

 

 

始まるのだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

コントロール

行きたい場所があるのに

 

どうしてもたどり着けない

 

 

 

したいことがあるのに

 

どうして良いかわからない

 

 

 

頑張るしかないと

 

思えば思うほど

 

 

 

重い石の塊のように

 

動けなくなっていく

 

 

 

頭と体が

 

繋がらない

 

 

バランスを失い

 

 

コントロール出来ない

 

 

 

虚しさと

 

 

悲しさと

 

 

情けなさ

 

 

 

いろんな感情に

 

 

押しつぶされていく

 

 

 

 

いつになったら

 

 

辿り着けるのだろう

 

 

 

 

私が私で居られる

 

 

その場所へ

 

 

 

 

こんな小さな夢を叶えたいんだ

命の終わりが

 

もうそこまで来ているというのに

 

いつもと変わらない

 

くったくのない笑顔の君

 

 

 

一緒に笑いたいのに

 

その笑顔をみると

 

泣きそうになる

 

 

涙を我慢して

 

いつもと変わらない

 

他愛のない会話をする

 

 

 

あの山へ行きたいね

 

美味しいごはん食べに行こうよ

 

 

一緒に行けるのだろうか

 

わからないのに

 

それでも

 

未来の計画をたてている

 

 

出来るだけたくさん

 

この計画を実行したいな

 

 

こんな小さな夢を叶えたいんだ

 

 

その笑顔に

 

永遠に会えなくなる

 

その前に…

 

 

 

teal  tree

 

六十余年の時を超えて

最愛のあなたは

 

遥か昔に旅立ち

 

 

それは人々のため

 

それは家族のため

 

 

 

いつか帰ると約束したのに

 

その想い果たせぬまま

 

 

帰ることなく

 

時は過ぎていった

 

 

 

いつも想っていたよ

 

ずっと大好きだったよ

 

 

 

私はもう

 

こんなにも年老いてしまった

 

 

微笑むあなたの写真は

 

あの頃のまま

 

若かったあの頃のまま

 

 

 

もうそろそろ

 

あなたに会いに行く

 

私もだいぶん疲れてきたから

 

 

 

めそめそしないこと

 

頑張ること

 

強くあること

 

優しくあること

 

 

 

あなたがいなくなってから

 

頑張ってきたよ

 

 

みんなに支えられ

 

頑張ってきたよ

 

 

 

長く生きたから

 

たくさんの家族に

 

出会えた

 

あなたが見れなかった

 

子ども達にも

 

たくさん出会えた

 

 

あなたといた頃は

 

幸せだった

 

 

あなたがいなくなって

 

悲しかった

 

寂しかった

 

 

 

でもやっぱり

 

幸せだったよ

 

たくさんの家族に囲まれ

 

そして

 

心の中にはあなたが

 

いつも一緒だったから

 

 

だから

 

あの日届いた

 

あなたからの手紙を持って

 

あなたに会いに行きます

 

 

 

 

六十余年の時を超えて

 

やっと最愛のあなたに

 

再会できる

 

ありがとう

 

 

そして

 

私に出会ってくれた

 

たくさんの人々へ

 

 

ありがとう

 

さようなら

 

 

またいつか

 

きっと会えるよ

 

 

 

遠い遠い空の彼方で…

 

 

☆祐妙☆