それは誰かの日常

それは過去の出来事 それは未来の出来事 それはフィクション それはノンフィクション

22回目の朝

22回目の朝をかぞえたら

 

やっとあなたに会える

 

 

空港に降り立つあなたを

 

半日前から待っているから

 

見つけたら 微笑んで

 

 

 

はやる気持ちを抑えながら

 

早足で駆け寄るから

 

 

 

その腕に飛び込んだら

 

そっと静かに抱きしめて

 

息が止まるくらいに

 

 

 

 

teal tree 

 

10月の雨は鐘の音と共に

これでもう逃げられない

 

まだ少しの迷いがあったのに

 

あの場所へはもう帰れない

 

 

 

ひとり自由に浮遊して

 

ゆらり揺られて

 

流れ流れて

 

気の向くままに

 

思いのままに

 

 

 

ひとりがふたりになった時

 

自由と引き替えに

 

何があるのだろう

 

 

 

10月の雨の中

 

少しの不自由さと

 

幸せの予感を

 

チャペルの鐘の音が

 

虹の向こうへと運んでいった

 

 

teal tree

 

 

10年前のあなたと100年後のあなたへ

もう10年も経ってしまったんだね

 

あの頃と変わらない気持ちのまま

 

私だけ大人になった

 

 

 

突然あなたがいなくなって

 

目の前にある

 

全ての光が消えてしまった

 

 

 

ただ1人でひたすらに

 

手探りで生きてきたけど

 

 

 

いつもあなたがそばにいるような

 

そんな気がしてた

 

 

 

光のない世界に

 

私だけにしか見えない道が

 

そこには確かにあった

 

 

 

 

消えてしまっても

 

私の中に

 

そのままのあなたがいる

 

 

 

それはこれから先

 

ずっとずっと永遠に

 

私のたどる道を

 

教えてくれるのだろう

 

 

 

伝えられないままの気持ちを

 

今なら素直に言える

 

大好きだよ

 

ありがとう

 

 

 

 

いつかまた新しい世界で

 

あなたに巡り会えると

 

そう信じて生きて行こう

 

 

 

teal tree

 

始まりは12月の風

君の心は

もう決まっているのだろう

 

 

そのまっすぐな眼差しは

僕を突き抜けて

 

 

まだ誰も見たことのない

黄緑色の星を見つけていた

 

 

 

長く…でも短い

迷路の中にいたあの頃の君と

 

 

今、目の前にいる君とは

まるで別の顔だった

 

 

 

ラピスラズリの満天の星空は

 

黄緑色の星へと君を送る

やわらかな風となり

 

 

ありがとう…と

笑いながら

僕の頬をかすめていった

 

 

 

teal tree

遠い昔の海の家族

いつも潮の香りがしていた

 

家の窓からは海が見えていた

 

 

風が強い日は

潮が家の窓を叩いた

 

 

そんな日に窓を開けて

母親に叱られた

 

 

潮の香りは

遠い昔を想い出す

 

 

父親は片手にタコを持って

いつも笑顔で桟橋を歩き

 

 

遠くから

自分の子ども達3人の名前を

順々に叫びながら

帰ってきた

 

 

恥ずかしかった

大きな声で呼ばれるのが

とても恥ずかしかった

 

 

今は…

 

部屋から出るのも

面倒そうな父親

 

 

あの頃のように

 

大きな声で

名前を呼ばれたら

 

 

もう!声大きいよ!と

きっと怒ってしまうに違いない

 

 

その大きな声が

恥ずかしくて

 

でも嬉しくて

笑っちゃうんだろうな

 

 

また…笑顔で

タコ持って帰ってよ

お父さん

ガラガラと

ガラガラと響く音が

 

話しかける声をかき消し

 

届かない気持ちは

 

そのガラガラに巻き込まれ

 

やがて潰されてゆく

 

 

 

そのガラガラより大きな声で

 

もっと近づいて

叫べばいいじゃないか

 

 

 

そうしないのは…

 

そこまで大事な話じゃないから

 

 

いつか私の叫びに

気づいてくれるのを

 

ただ

ガラガラ…ガラガラと

 

待っている

 

teal tree

 

 

初めて出会う懐かしい景色

扉は閉じられていた

 

鍵はかかっていない

 

 

なのに何故

出て行かないのか

 

なのに何故

自由が欲しいと願うのか

 

 

その扉を開くことは

とてつもなく簡単で

とてつもなく難しかった

 

 

青い空に渦巻く

黄色い風は

 

扉の向こうで賑やかに笑い

僕の手をとり歌い始めた

 

 

大きく息を吸い込み

吐き出した時

 

扉の向こうに

笑顔の僕がいた

 

 

初めて出会った

でも懐かしい景色は

 

生まれる前から知っていた

空と風の色だった

 

 

teal tree