それは誰かの日常

それは過去の出来事 それは未来の出来事 それはフィクション それはノンフィクション

変わらない世界

その時僕は

雑踏の中にいた

 

行き交う人々の

笑い声の渦に呑み込まれ

 

行き場を失い

たたずんでいた

 

 

 

今にも消えそうなこの世の炎を

灯し続けるだけのために

 

君は

物音も立てず

 

ひっそりと

眠っているというのに…。

 

 

 

怖かったのだ

 

 

白いだけの壁の前で

 

消えてしまいそうな

君の炎を

 

僕のため息が

消し去ってしまいそうで

 

 

だから…

 

だから

飛び出してきた

 

 

このまま

僕が消えてしまっても

 

きっと何も変わらない

 

 

変わることを恐れながら

変わらないことを嘆いている

 

 

 

もう大丈夫

空から君の声が聞こえた

 

大丈夫だよ

 

 

本当に大丈夫なのか

もう一緒にいなくても

 

 

 

そうだ

そうだな

 

そもそも君は僕で

僕は君なのだから

 

 

 

時に

君が深い眠りにつき

僕が深い眠りから覚める

 

 

時に

僕が深い眠りにつき

君が深い眠りから覚める

 

 

そんな入れ替わりの

繰り返しの中で

 

君と僕は

生きているのだ

 

 

今は…そう

君が眠る時なのかもしれない

 

 

お互いが目覚めている

その一瞬の時間

 

 

それは

何度となく繰り返し

 

その時2人は

いや2つの心は

 

迷い悩み

 

そして

君か僕どちらかが

雑踏でたたずむ

 

 

明日

目覚めるのは

 

君なのか

僕なのか

 

それは

誰にもわからない

 

 

そして

どちらが目覚めても

 

この世界は

何も変わらない

 

そう

変わらない世界が

広がっている

 

 

ただ言えることは

 

この変わらない世界の中で

 

君と僕という

1人の人間が

 

変わりながら

生きていくということ

 

 

時に君であり

時に僕でありながら