それは誰かの日常

それは過去の出来事 それは未来の出来事 それはフィクション それはノンフィクション

始まりの海

夢の中にいた

 

ひとりで

 

どこかをさまよっていた

 

歩いても歩いても

 

なにも見えなかった

 

どこへ向かっているのか

 

わからないまま

 

ただ

 

さまよっていた

 

 

 

気がつくと

 

雨が降っていた

 

足元に雑草が生えていた

 

雨のしずくに

 

濡れながら

 

倒れないよと

 

頑張っているようにみえた

 

 

 

ふと見上げると

 

雲の隙間から

 

少しの明かりが差し込んでいる

 

 

無意識に

 

両手を伸ばすと

 

ぐん!と

 

その手を引っ張られ

 

 

少し痛い感覚とともに

 

懐かしい波の音が

 

聞こえてきた

 

 

 

砂と石ころが転がる

 

海岸に立っていた

 

 

 

そうだ!

 

ここから始まったんだ

 

 

また再出発するために

 

思い出させてくれた

 

 

遠い空の向こうにいる

 

大切な人たちが

 

優しい暖かい手を伸ばし

 

行き先を見失った私を見つけ

 

その手を引っ張ってくれた

 

 

ありがとう

 

ありがとう

 

 

海は私が生まれたところ

 

波は私が聞いた声

 

砂と石ころの海岸は

 

私が歩く道

 

 

 

ありがとう

 

ここは私の始まりの海

 

 

憎しみの溶岩

憎しみの塊は

 

溶岩のように

 

沸々と

 

ボコボコと

 

静かな音を立て

 

 

急激に

 

温度を上げている

 

 

 

 

崩れ落ちる

 

小さなトゲトゲの破片を

 

一瞬にして溶かし

 

 

 

そのトゲトゲは

 

どんどん増え続けていく

 

 

 

時折遠くで聞こえる

 

煮えたぎったような破裂音が

 

心拍数を上げる

 

 

 

 

いっそ全て

 

一気に吐き出してやろうか

 

 

 

そんな思いが

 

頭の隅をかすめた

 

 

 

 

 

風が吹き

 

枯葉がザザザ…と

 

目の前を通っていった

 

 

 

 

目を閉じて

 

大きく深呼吸した

 

 

 

 

 

 

 

 

ああ…

 

溶けた溶岩が

 

また少しづつ

 

冷え固まってきたようだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ばあちゃんさようなら

これは

私の気持ちの記録です。

 

ひとりごとです。

読みたくない人はスルーしてください。

 

***************

 

もうすぐ

ばあちゃんの一周忌です。

 

1年前の7月に

この世を去りました。

 

いつの頃からか

『100までは生きるぞー!

100まで頑張るぞー!』と

100まで!というのが、

口癖のようになっていました。

 

まだばあちゃんが

90歳くらいの時は、

 

私も『ほんとやな。

100まで頑張ろで〜!』

と答えていましたが、

 

毎年毎年ばあちゃんの

誕生日が来るたびに、

そう言えなくなりました。

 

ばあちゃんは「100まで頑張る!」

といつも言っているから、

もし100歳になったら

力尽きてしまうかもしれない。

 

 

人は誰でもいつかは死ぬのだと

わかってはいるけれど、

100歳までという

命のゴールを決めて欲しくない。

 

 

だから、100まで頑張るぞ!

というばあちゃんに

ほんとやな〜と言えなくなりました。

 

 

いつまでも生きていて欲しい。

という思いと、

 

いつかは死んでしまうんだ。

という覚悟のような思いが、

 

 

ばあちゃんの顔を見るたびに

頭の中をぐるぐると交錯するのでした。

 

 

亡くなる数年前から

何回も何回も、今夜が峠です。

というお医者さんの言葉を聞きました。

 

 

その度に、休暇を取って

片道4時間近くかけて

ばあちゃんに会いに行きました。

 

 

会いに行くたびに、

ばあちゃんは

私を忘れていきました。

 

私の弟のことを、

自分の息子と間違えたりしました。

 

私の母である自分の娘のことを

看護婦さんと呼んだりするようにも

なりました。

 

そうやってばあちゃんは

いくつもいくつも峠を越えました。

 

ひょっとしたら

100個の峠を目指して

いたのかもしれません。

 

98個目の峠が見えたとき

ばあちゃんにはそれが

100個目に見えたのです。

 

 

 

大正生まれのばあちゃんは、

数え年で年齢を数えるのが

普通だったからでしょう。

 

 

 

ばあちゃんに

会いに行く予定じゃなかったその日、

いくつかの偶然が重なり、

思いついて会いに行きました。

 

私の顔を見ても

誰だかわかっていなかったと思いますが、

手を握ったら、うんうんと頷いていました。

 

夕方頃から、

だんだん呼吸ができにくくなり、

深呼吸のような…息継ぎのような…

ぱーっ!という

大きな息を吐き出して

 

 

そのまま静かに

永遠の眠りにつきました。

 

 

享年100歳(満98歳)でした。

 

 

ばあちゃんは

100まで生きる!という

自分の思いを全うしました。

 

 

そして

何十年も前に戦死した旦那さんに

やっと会いに行けました。

 

 

 

 

ばあちゃんありがとう。

 

ばあちゃん大好き。

 

ばあちゃんさようなら。

 

 

 

もうすぐ「さようなら」から

1年も経つね。

 

 

やっぱりあちらの世界でも

頑張っているのかな。

 

 

私も

 

ばあちゃんのように

まっすぐに生きるよ。

 

ばあちゃんのように

思いのままに生きるよ。

 

いつも

「私はわがままやけんな」

と、自分で言ってたけど

 

それはわがままではなかった。

 

ただ

まっすぐに

思いのままに

一生懸命生きていただけ

 

素直な気持ちだけで

生きていただけ

 

 

そんなばあちゃんみたいに

私もなるよ。

 

 

一周忌には

また会いに行くから

 

私の顔見たら

うんうんと頷いてね

 

 

ばあちゃん

安らかに…。

抜け出せない

誰もいない

 

小さなその空間に

 

ただひとり

 

ただ

 

うずもれている

 

 

 

そして

 

抜け出せずにいる

 

 

 

 

遥か遠くに聞こえる

 

風の音は

 

 

 

思考の雑音に

 

消されていく

 

 

 

どうすればいいんだ

 

 

どうにかしなくては

 

 

そう思いながら

 

 

動けずにいる

 

 

 

 

誰も…

 

そう誰一人として

 

助けてくれやしないのに

 

 

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決断の時

あと3時間後には

 

答えを出さなくてはいけない

 

 

 

いつまでも

 

迷っているわけにはいかない

 

 

いい加減

 

覚悟を決めなければ

 

 

 

 

 

あれからもう

 

 

2ヶ月も経ってしまったのだから

 

 

 

 

さあ

 

迷っている時間は無い

 

 

 

 

決断の時が

 

 

刻々と迫ってくる

 

 

 

 

そして

 

そこから新しい道が

 

 

始まるのだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

コントロール

行きたい場所があるのに

 

どうしてもたどり着けない

 

 

 

したいことがあるのに

 

どうして良いかわからない

 

 

 

頑張るしかないと

 

思えば思うほど

 

 

 

重い石の塊のように

 

動けなくなっていく

 

 

 

頭と体が

 

繋がらない

 

 

バランスを失い

 

 

コントロール出来ない

 

 

 

虚しさと

 

 

悲しさと

 

 

情けなさ

 

 

 

いろんな感情に

 

 

押しつぶされていく

 

 

 

 

いつになったら

 

 

辿り着けるのだろう

 

 

 

 

私が私で居られる

 

 

その場所へ

 

 

 

 

こんな小さな夢を叶えたいんだ

命の終わりが

 

もうそこまで来ているというのに

 

いつもと変わらない

 

くったくのない笑顔の君

 

 

 

一緒に笑いたいのに

 

その笑顔をみると

 

泣きそうになる

 

 

涙を我慢して

 

いつもと変わらない

 

他愛のない会話をする

 

 

 

あの山へ行きたいね

 

美味しいごはん食べに行こうよ

 

 

一緒に行けるのだろうか

 

わからないのに

 

それでも

 

未来の計画をたてている

 

 

出来るだけたくさん

 

この計画を実行したいな

 

 

こんな小さな夢を叶えたいんだ

 

 

その笑顔に

 

永遠に会えなくなる

 

その前に…

 

 

 

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