それは誰かの日常

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凍えるような8月11日

『氷の仮面』

 

そこは
笑い声に満ちた空間だった


足を踏み入れると


ただ笑い声が
活字として襲ってきた

 

楽しそうにも見える
その空間は


でもなにか毒々とした
硬く冷たい場所だった

 


笑っている音は
聞こえているのに

誰も笑っていなかった


まるで
氷の仮面をかぶったような


そんな人々が
笑いながら話していた

 


この人たちの心は
何処にあるんだろう

 

 

探り続けている僕に
硬い音が話しかけてくる

 


その硬い音は
心地よいものではなく


その空間の冷たさを
より一層凍らせた

 

 

こんな所で
僕は何をしているんだ


このまま
凍りついて動けなくなるのか

 


ここにいてはダメだ!

誰かが頭の中で叫んだ

 


後ずさりして振り返り
走ろうとした瞬間


誰かの冷たい右手が
僕の左肩を掴んだ

 

やめろ!

 


自分の叫び声で目が覚めた

 


いったい僕は何から
逃げようとしたんだ?

 


ベッドの上で
天井を見つめながら

 


深く息を吐き…
また目を閉じた