それは誰かの日常

それは過去の出来事 それは未来の出来事 それはフィクション それはノンフィクション

遠い昔の海の家族

いつも潮の香りがしていた

 

家の窓からは海が見えていた

 

 

風が強い日は

潮が家の窓を叩いた

 

 

そんな日に窓を開けて

母親に叱られた

 

 

潮の香りは

遠い昔を想い出す

 

 

父親は片手にタコを持って

いつも笑顔で桟橋を歩き

 

 

遠くから

自分の子ども達3人の名前を

順々に叫びながら

帰ってきた

 

 

恥ずかしかった

大きな声で呼ばれるのが

とても恥ずかしかった

 

 

今は…

 

部屋から出るのも

面倒そうな父親

 

 

あの頃のように

 

大きな声で

名前を呼ばれたら

 

 

もう!声大きいよ!と

きっと怒ってしまうに違いない

 

 

その大きな声が

恥ずかしくて

 

でも嬉しくて

笑っちゃうんだろうな

 

 

また…笑顔で

タコ持って帰ってよ

お父さん