それは誰かの日常

それは過去の出来事 それは未来の出来事 それはフィクション それはノンフィクション

始まりの海

夢の中にいた

 

ひとりで

 

どこかをさまよっていた

 

歩いても歩いても

 

なにも見えなかった

 

どこへ向かっているのか

 

わからないまま

 

ただ

 

さまよっていた

 

 

 

気がつくと

 

雨が降っていた

 

足元に雑草が生えていた

 

雨のしずくに

 

濡れながら

 

倒れないよと

 

頑張っているようにみえた

 

 

 

ふと見上げると

 

雲の隙間から

 

少しの明かりが差し込んでいる

 

 

無意識に

 

両手を伸ばすと

 

ぐん!と

 

その手を引っ張られ

 

 

少し痛い感覚とともに

 

懐かしい波の音が

 

聞こえてきた

 

 

 

砂と石ころが転がる

 

海岸に立っていた

 

 

 

そうだ!

 

ここから始まったんだ

 

 

また再出発するために

 

思い出させてくれた

 

 

遠い空の向こうにいる

 

大切な人たちが

 

優しい暖かい手を伸ばし

 

行き先を見失った私を見つけ

 

その手を引っ張ってくれた

 

 

ありがとう

 

ありがとう

 

 

海は私が生まれたところ

 

波は私が聞いた声

 

砂と石ころの海岸は

 

私が歩く道

 

 

 

ありがとう

 

ここは私の始まりの海