それは誰かの日常

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水曜日の放課後

水曜日の放課後

3階の廊下の窓から

外を眺めるのが好きだった

 

友達とふざけながら帰る

彼の姿を見るのが好きだった

 

 

ふふ…

またバカな事やってる

やっぱ好きだな〜

 

こっち見ないかな…

おーいこっちだよ〜なんてね

心のなかで叫んでみる

 

気づくわけないか

あはは

 

 

水曜日はいつも

3階の廊下から

彼が見えなくなるまで

ずっと見つめてる

 

今日もいつものように

外を眺めていた

 

いつものように

彼がふざけながら帰っていた

 

突然!

彼が振り返り

そのまま空を見上げ…

 

うそ!

え?え?えーー!

 

くるり〜と身体を反転させ

彼の視線がこっちに!

 

わーー!

あまりにも突然の事に

ビックリして

思わずしゃがんでしまった!

 

あ〜どうしよう。

立ち上がれなくなったよ〜。

なんで急にこっち向くんだよ

ほんとに焦るじゃない!

 

は〜ぁ〜

もう帰っちゃったかな?

まさか、まだこっち見てたりして…

 

やだぁ!も〜

いつまでしゃがんでんの?私

 

 

『何しゃがんでんの?おまえ』

 

ん?

いや、しゃがんでんのは私だよ

おまえ…って何言ってんの?

 

おまえ…って、

ん?おまえ?

 

何?誰?

振り返ると…

 

『わーーーーー! あわわわーー!』

『な、な、なんで?なんで、あんたがここにいんのよ!』

 

『なんでって⁈忘れ物したから取りに戻ったんだよ。そういう おまえこそ、なんでしゃがんでんだ?』

 

『いや、あの、それは…その〜、コンタクトよ!コンタクト落としたから探してんのよ。

あ!あったあった。』

ふう…なんとかごませたかな?

 

『そんなことより、もう!急に後ろから…ほんっとビックリさせないでよ。早く忘れ物でもなんでも持って帰んなさいよ!』

…たく、 心臓飛び出るかと思った…。

 

教室に入る彼の背中を見ながら、

深呼吸をした。

 

『おい!一緒に帰ろうぜ!どーせ1人だろ?』

 

『はあ?う〜ん、たまたま今日は1人だから、

まあ一緒に帰ってあげてもいいよ…』

 

『はい決まり!早く鞄持って来いよ!』

 

『わかった。でも言っとくけど、今日はたまたまだからね!』

 

『はいはい…(笑)さ!帰るぞ。』

 

 

鞄…鞄…っと、

もう、ビックリしたけど嬉しい♡

いつも願ってたこと叶っちゃったよ〜♡

 

あー

なんか並んで歩くの緊張するな〜

 

 

『あのさ、ところでなんでおまえ毎週、水曜日あそこから外見てんの?』

 

うぇ!え〜??!!!

知ってたんだ…

 

『へ?あ、はいあの…え〜っとその〜』

 

『ま、いいけどさ…もう来週から見んなよな。』

 

『え?あ、うん…そうだね、ごめん』

 

『来週からは、ずっと一緒に帰るから…、水曜日だけじゃなく毎日な。』

 

『うそ!!!ほんと???なんで!なんで?』

 

『な、なんでもいいだろ!バーカ』

 

わ!頭ポンポンってされちゃった♡

えぇ〜〜!きゃぁ嬉しい♡

 

『ちょっとバーカはひどいよ!もう待ってよ〜〜』 

 

 

………

 

キーンコーンカーン…

 

あ、チャイムだ。

 

そ〜だよね〜

そんなマンガみたいなこと

そうそう無いよね〜(笑)

 

『お〜い!ちゃんと戸締まりして帰れよ〜』

 

2階から先生の声が聞こえて来た。

 

さ、早く帰んなきゃ!

今日は母さん当直で、父さん定時退社の日だ。

 

帰ってチャーハン作ろうっと!

 

 

 

teal tree 

11月の海はブルーターコイズ

誰も入る事のできないはずの

閉じられた部屋の中に

 

少しの隙間から

11月の陽射しだけが

簡単に射し込んできた

 

それは

薄暗く濁った想いのように

 

暖かさを通り越し

ジリジリと背中を刺してきた

 

遮ることのできない

その濁った陽射しは

その部屋を埋め尽くした

 

 

いつしか私は

全ての感情を失い

心を凍らせていった

 

 

そして私は

笑わなくなった

笑えなくなっていた

 

 

目の前にある

その扉を開くまでは…

 

 

 

あの日、目の前の扉が

私の感情に直接アクセスしてきた

 

 

好きに生きてもいいんだよ…

間違いなんて無いんだよ…

 

 

私は

深く息を吸い込んで

両手でその扉を

押し開けた

 

 

 

そこには

ルーターコイズの海が

 

キラキラと眩しいくらい

輝いていた

 

teal tree

 

夜空を見上げた9月の終わりに

ブルーレースの風が

 

冷え切った体を

通り抜けてゆく

 

切れ切れの雲は群れをなし

 

何かに

追い立てられるかのように

 

次々と遠ざかっていく

 

 

さようなら

 

ありがとう

 

 

たった今から

新しい世界が始まる

 

 

風はためらいもなく

 

レピドライトの夜空へと

吸い込まれていった

変わらない世界

その時僕は

雑踏の中にいた

 

行き交う人々の

笑い声の渦に呑み込まれ

 

行き場を失い

たたずんでいた

 

 

 

今にも消えそうなこの世の炎を

灯し続けるだけのために

 

君は

物音も立てず

 

ひっそりと

眠っているというのに…。

 

 

 

怖かったのだ

 

 

白いだけの壁の前で

 

消えてしまいそうな

君の炎を

 

僕のため息が

消し去ってしまいそうで

 

 

だから…

 

だから

飛び出してきた

 

 

このまま

僕が消えてしまっても

 

きっと何も変わらない

 

 

変わることを恐れながら

変わらないことを嘆いている

 

 

 

もう大丈夫

空から君の声が聞こえた

 

大丈夫だよ

 

 

本当に大丈夫なのか

もう一緒にいなくても

 

 

 

そうだ

そうだな

 

そもそも君は僕で

僕は君なのだから

 

 

 

時に

君が深い眠りにつき

僕が深い眠りから覚める

 

 

時に

僕が深い眠りにつき

君が深い眠りから覚める

 

 

そんな入れ替わりの

繰り返しの中で

 

君と僕は

生きているのだ

 

 

今は…そう

君が眠る時なのかもしれない

 

 

お互いが目覚めている

その一瞬の時間

 

 

それは

何度となく繰り返し

 

その時2人は

いや2つの心は

 

迷い悩み

 

そして

君か僕どちらかが

雑踏でたたずむ

 

 

明日

目覚めるのは

 

君なのか

僕なのか

 

それは

誰にもわからない

 

 

そして

どちらが目覚めても

 

この世界は

何も変わらない

 

そう

変わらない世界が

広がっている

 

 

ただ言えることは

 

この変わらない世界の中で

 

君と僕という

1人の人間が

 

変わりながら

生きていくということ

 

 

時に君であり

時に僕でありながら

 

 

 

はるか昔の3月3日

私いつも不安なんです

 

あなたの心が

 

変わらないかと…

 

私の心はいつまでも

 

あなた色なのに

 

あなたはいつも

 

私を見てくれますか

 

 

 

私いつも願ってるんです

 

あなたの心の中に

 

私がいること

 

私の心は

 

あなたでいっぱいなのに

 

あなたはいつも

 

私を想ってくれますか